【続】隣の家の四兄弟
「よーし、じゃああとは徐々に―――ぅわッ?!!」
この場に相応しくない呑気な声に、全員が振り向いた。
私のさらに後ろに立つのは―――
「お…お、お、お、お父さん…!」
「美佳!…と、この人数は…何事だ…?」
「何事だ?」ってこっちのセリフだよ!
ていうか、お父さんがなんで…って、ここお父さんの家だけど!
でも、相変わらず突然の帰宅にびっくりする。
「お、お父さん…帰ってきてたの?お母さんは?」
もう何を誰を優先して聞けばいいかわかんないよ。
とりあえず目の前に居るお父さんに質問しては見るものの…
この部屋に居る男の人が誰かもわからないし―――…あれ?そういえば…
「お母さんは仕事―――あっ、チハル?!そんなとこに!」
「イツキ!これどうなってんの…?」
三那斗に抑えつけられてたままの男の傍に駆け寄ったお父さんは「チハル」と名を呼んだ。
どうやら、お父さんの知り合い…みたい…だけど…でも…。
三那斗が空気を読んで、その『チハル』からどけるとその男は体を起こして顔を歪めた。
「…ったく、いてーな…」
そう言って首をゆっくりと回して私の方を見る。
―――いや、私じゃない。
浩一さんだ。