【続】隣の家の四兄弟
「…久々の日本で、まさかこんな手厚い歓迎をされるとは…ね」
チハルという人物は嫌味混じりにそう行って笑うと、服を正しながら立ち上がった。
「ごめん!チハル!こっちも何が何だか…おい、美佳、この男たちは―――」
「あ、この人たちは」
「『コウ』、だろ?」
お父さんの問い掛けに答えようとしたときに、男が口を開いた。
―――やっぱり!
「コウ」…って…浩一さんのことを言ってる!
お父さんが連れてきたのは間違いないけど、このチハルって人…浩一さんの知り合いでもあるの?
私は浩一さんの表情を見るのに斜め後ろから様子を窺った。
だけど、浩一さんの顔はパッとしない表情で『チハル』をじっと見てる。
「浩兄、知り合いか…?」
三那斗も私と同じようで気になるみたい。
その三那斗の質問にも答えずに浩一さんは何か思い出してるようだ。
「…まだわかんない? まー無理ないのかなぁ。あ、セイジは?あんたはセイジだろ?」
今度は聖二の名を口にしたのに驚いた。
「『チハル』……」
「『ちーちゃん』か…?」
聖二が男の名前を考えるように呟き、その後すぐに浩一さんが思い当たる人物がわかったみたいで、呼び名を口にした。
「giusto!(あたり!)その呼び方、久しぶりだよ」
「…全然、わかんなかった…」
「ああ。あの時ってまだ5歳くらいだったからね」
外野を置いて、浩一さんとその人は話を進めてた。
「あ…聖二。思い出したか?」
「……ああ。“お隣さん”か」
次に聖二が話に加わる。
どうやら本当に知り合いみたい…。