【続】隣の家の四兄弟
「ちょっと!お父さん!」
「んー?」
「『んー?』じゃないっ」
チハルをあの物置部屋に残して私とお父さんはリビングに移動した。
私がどういうことか、お父さんに問い質そうとしてるのに、お父さんは相変わらずマイペースにコーヒーなんか淹れちゃって!
「いちから説明してよ!」
「あれ?お母さんから聞いてなかったか?」
「聞いてない!っていうか、多分お母さんはお父さんが説明してると思ってる!」
そう。
多分、この間三者面談の電話をしたときに話をしていたのはこれだ。
忙しいのはいいけど、突然―――しかも見知らぬ男を連れ込むなんて信じられない!
「『いちから』って言ってもなぁ…」
「ちょっと!そこでめんどくさがらないでよ!」
「…ばれた?」
このおちゃめ父さんめ。
ペロッと赤い舌を覗かせたって、もう可愛い歳じゃないんだから!
私が久しぶりに会ったのに睨みをきかせていると、お父さんは「まぁまぁ」とご機嫌取りをするように私の背中を押してソファに座らせた。
「ちょっとの期間、仕事を彼と一緒にするんだ」
「だからって、なんでウチに…」
「美佳は気付いたか?チハルがどこに居て何をしてる人か」
「…日本じゃなさそうとは思ったけど…」
チハルの言動や、行動なんかを思い出して答えた。
時折英語みたいなのが出てたし、なんか陽気だし。
だけど、『何をしてる人』なんてわかるはずないじゃない。