【続】隣の家の四兄弟

「久々に再会出来たのに、ぼくだけ仲間外れ?」


チハルが頬を膨らませて言った。


はー…。こういう整った顔の人は、どんな顔をしてもイヤミがないな。

いや、チハルは特別かな。

男っぽいというより、どちらかというと女の子っぽい雰囲気を持ってる気もするから。
でも、かっこよくもあるなんて、神様は不公平だな。

あれ? そういえば、チハルっていくつだっけ?
さっきお父さんがいるときに話出たような…私よりは上ってことは確かだったけど。


「ああ、ごめんごめん。仲間外れなんて子供っぽいこと言うなよ」
「ね、ミカってコウたちとどういう関係?」


浩一さんが、笑って言うと、チハルが興味津々に私たちを見て聞いてきた。


――『どういう関係』って……。

そう聞かれたら、なんて言えばいいのかな。

“お隣さん”とか、“同級生の家”とか……“彼氏の家”、とか――――って、めっちゃ照れるし、私なんかにそんなこと言えるわけがない!!


「んー…まぁ、元々チハルと同じ、“お隣さん”だったんだけど……」
「『けど』? なに? もしかして、コウのinnamorato?」


い、イナモラー…トオ?
なに? なんのこと言ってるかさっぱりなんだけど!


「チハル、悪い。イタリア語わかんないから…」
「Oh,ごめん。コウのカノジョ?」

「かっ!!!!」


カノジョだなんて!!
チハル、なにを言ったのかと思えば!
そういう話題って、なんかこそばゆいからあんまり得意じゃないのに!

ごく最近、カノジョにはなったけど、相手が違うし!


私がつい口を挟みそうになって、声をあげると、みんな一斉に私を見た。

だけど、私はすぐに視線をじゃがいもに落として口を閉じる。


「違うよ。おれの彼女じゃない」
「Hmm-そうなの? じゃあ……」


そう言ってチハルが次に顔を向けたのは、聖二。


せ、聖二はなんて言うんだろう。
照れるような性格ではなさそうだけど、かといって自分からなにかを言うタイプでもないし…。

聖二の口から“俺の彼女”とかって内容を聞いたら、すっっっごいことだと思う。

――でも聞けるなら、一回くらい、聞いてみたいな。


そんな淡い期待を抱いて、聖二の出方をドキドキしながら待った。

< 55 / 286 >

この作品をシェア

pagetop