【続】隣の家の四兄弟
「Buono!(おいしい!)」
チハルが一口食べて、笑顔で言った。
あ、多分、“おいしい”って言ったんだな。なんかそんな感じ。だってあんなに嬉しそうに食べてるし。
イタリア語――全然わかんないけど、ニュアンスで伝わることってあるんだな。
表情とか仕草とか、一連の会話の流れとか。
そんなことを考えながら、向かいに座るチハルを見てた。
他にも、笑った口が大きいなーとか、箸も使えるんだなーとか、どうでもいいようなことを考えてた。
箸に関しては、もしかしたら私より上手かも……手もキレイだし、サマになるんだよなぁ。
「これ、ほんとにミカが作ったの?」
「あ、はぁ……一応」
「へぇー」
『ほんとに』とかって言われると、私ってどんだけ出来ないと思われてるのだろうと思う。
私が控えめに答えたあとも、チハルは黙々と私の作ったサラダを食べてた。
「“ごちそうさま”!」
そしてチハルは完食して、満面の笑みで言った。