【続】隣の家の四兄弟
「うーん」と頭を捻って考えてると、チハルは蕎麦を食べ終えたようで箸を揃えて置いた。
そしてまた突然に。
「セイジのオヨメサン?」
「――ぶっ!!」
ちょうど水を口に含もうとした私は、ギリギリ吹き出さずに済んだ。
――な、なにを! ばばばばばかじゃないのっ。
チハルが変なこと突然言うから、危うく目の前の綺麗な顔に、まるでどっかのバラエティ番組のように水をぶっかけるとこだったじゃないの!!
そうしたら、それこそまさに、“水も滴るイイ男”……って、シャレになんないし!
あわあわと、明らかに動揺していた私をくすくすと笑って、チハルは言う。
「なんで? いいじゃん、それが」
「ば、バカッ。カンタンに言わないでよッ」
「えー」
チハルは口を尖らせて、組んだ両手を頭に添える。そして少しだけ、宙を見てなにかを考えてるようだ。
その考えがまとまったのか、ニカッと笑った。
「じゃあぼく、行こうかな」
「は……? どこに?」
この流れでなに言ってんの?
それともなに。その話はもう終わって、どっか出掛けるとでも言ってるの?
立ち上がって伸びをするチハルを見上げる。
首を傾げながら、さっき飲めなかった水を口に入れたときだった。