製菓男子。
「涙のあとがある」
慌てて身を引くと塩谷さんは苦笑した。
「傷つくなぁ」
傷つけるつもりなんてひとつもなくて、でも、どうしていいかわからなくて、思い出したようにまたひとつ雫が頬を伝っていく。
「あ、ごめん。泣かすつもりじゃなかったんだけど」
泣きたいわけじゃないのに、泣いてしまって、止める手段がわからない。
(それもこれも、全て、兄さんのせいだ)
兄がいなかったら、わたしはずっと人に関わらず家にこもっていられたし、苦手なこともいやなこともやらなくてすんだ。
得意なことは得意な人にやってもらって、不得手な人は不得手らしいことをしていればいい。
どうしてこんなに悲しい思いをしなくちゃいけないんだろう。
慌てて身を引くと塩谷さんは苦笑した。
「傷つくなぁ」
傷つけるつもりなんてひとつもなくて、でも、どうしていいかわからなくて、思い出したようにまたひとつ雫が頬を伝っていく。
「あ、ごめん。泣かすつもりじゃなかったんだけど」
泣きたいわけじゃないのに、泣いてしまって、止める手段がわからない。
(それもこれも、全て、兄さんのせいだ)
兄がいなかったら、わたしはずっと人に関わらず家にこもっていられたし、苦手なこともいやなこともやらなくてすんだ。
得意なことは得意な人にやってもらって、不得手な人は不得手らしいことをしていればいい。
どうしてこんなに悲しい思いをしなくちゃいけないんだろう。