製菓男子。
救急車はグランドの中に入っていた。
グランド側からも入り口があるらしい。
その門の外には遠目からも人だかりができているのがわかり、とてもじゃないけれど僕の運転じゃ入れなかった。
もしかしたら藤波さんは、それも見越していたのかもしれない。
救急車のサイレンは鳴っていなかったけれど、残響が空気の中で響いているようだった。
「リコちゃん!」
僕は藤波さんの視線を追いかける。
藤波さんはリコと面識がないはずだが、視線は的確にリコをとらえている。
「ツバサくん!」
リコは担架のあとを追うように、救急車に乗り込んでいった。
藤波さんの視線は次に、救急車の周りにいる教師や部活動中の生徒らに移り、その中からミツキを見つけていた。
「やっぱり、こうなってしまうの?」
救急車のサイレンが鳴り見送ると、足もとが突然崩れたように、藤波さんの身体がガクンと落ちていく。
僕は咄嗟に彼女の脇を掴んだ。
ここに着てから、ずっとずっと支えたかった重みだった。
「これは藤波さんのせいじゃないよ」
どこかで聞いたセリフだと思った。
それが淀みなく、僕から流れた。
グランド側からも入り口があるらしい。
その門の外には遠目からも人だかりができているのがわかり、とてもじゃないけれど僕の運転じゃ入れなかった。
もしかしたら藤波さんは、それも見越していたのかもしれない。
救急車のサイレンは鳴っていなかったけれど、残響が空気の中で響いているようだった。
「リコちゃん!」
僕は藤波さんの視線を追いかける。
藤波さんはリコと面識がないはずだが、視線は的確にリコをとらえている。
「ツバサくん!」
リコは担架のあとを追うように、救急車に乗り込んでいった。
藤波さんの視線は次に、救急車の周りにいる教師や部活動中の生徒らに移り、その中からミツキを見つけていた。
「やっぱり、こうなってしまうの?」
救急車のサイレンが鳴り見送ると、足もとが突然崩れたように、藤波さんの身体がガクンと落ちていく。
僕は咄嗟に彼女の脇を掴んだ。
ここに着てから、ずっとずっと支えたかった重みだった。
「これは藤波さんのせいじゃないよ」
どこかで聞いたセリフだと思った。
それが淀みなく、僕から流れた。