製菓男子。
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三時半をすぎ、ケーキ教室を終えた受講生が外階段から下りてきた。
その全員がお金にゆとりのありそうな女性たちだ。
できたてのスイートポテトのようなほくほくした甘い顔で、教室でもらったたくさんのお土産を抱えながら店でも買い物をしてくれた。
そのお陰か商品がなくなり、店じまいをすることになった。


早く店を閉める日は、普段できない掃除をすることになっているらしい。
朝同様の棚掃除を終えてから、白い床を掃き、曇りのないように磨く。
陽射しをたっぷり通す窓も洗剤を使い磨き、雑巾や新聞紙でも拭く。
高いところは足場が四段ある脚立を使って。
普段使わないからか、足もとの不安定さに慣れない。


店内が終わると次は外だ。


中からは気づきにくかったのだけれど、髪が乱れるくらいの強い風が吹いていて体温を下げていく。
手が冷たくなってきて、脚立にのぼることが店内よりも難しい。
それだけではなく、時折春特有の突風が吹いてバランスがさらに崩れるようにわるくなる。
脚立がガタガタ揺れ振り落とされそうになる。


「こ、これは、死亡フラグ?」


今までで経験したことのない突風が吹き、しがみついたのが頼りない脚立だから、あとはもう倒れるしかない。


(きゃあ!)
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