製菓男子。
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藤波さんとは歩いてツバサのいる病院に行くことになった。
その病院はうちの店から十分程度でつき、藤波さんの家からだとさらに近い。
ミツキはそのまま藤波さんを送っていけと言った。
ただ僕はまた、戻らなくてはならないが。


今朝のテレビの天気予報は雨だと言っていたらしい。
いつもは出勤前に僕も確認するのだが、今日はいろいろとそぞろだった。
そうであったなら、愛車で出勤していたに違いない。


頭上は青空が広がっていて一見雨とは無縁のように見えたが、藤波さんは律儀に傘を持っている。
雨が待ち遠しい、アジサイのような水色の傘だった。


「かわいい―――――、傘」
「ああ、すいません、傘ですよね」


僕の言い方がわるかったのか、藤波さんが照れている。
傘だけではなく、藤波さんもかわいいよと伝えればよかったのだろうか。


「あの、ツバサくんの容態は?」
「たいしたことないんじゃない? 見た目は」
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