製菓男子。
これはリコちゃんに触れて見えた、リコちゃんの少し先の未来と、気持ち。
思い出すと、胸がしめつけられ苦しい。


「やっぱり、だめです」


今回のことはわたしが大げさにしたと言っても、過言ではない。


リコちゃんは自殺する気はなかったそうだ。
「確かに考えなかったことではないんだけど」と、恥ずかしそうに打ち明けてくれた。


「やっぱり、わたしのせいだから、触れられません」


“困ればいい”


軽い気持ちで、リコちゃんは行動を起こした。
自殺をほのめかすことで、いじめた側の人は悔い改めるのだろうか。
心配するのだろうか。
それを見極めたかったともリコちゃんは言っていた。
だから日中は身を隠して、放課後になって学校の様子を見に行った。
「こんなに大事になるなんて」と、涙を流したリコちゃんの手をツバサくんがぎゅっと握っていたのが印象的だった。
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