製菓男子。
「結局わたしは、自分がかわいくて」


“月曜日の罪滅ぼし”


脳裏に一瞬よぎった言葉だ。


「最低で」


リコちゃんの気持ちを知りたいと願ったツバサくん。
その願いを叶えるためにはリコちゃんに触れなくてはならない。


ふたりのためにと思ったことでもあるけれど、その言葉を否定できずにもいる。


「自分のために、リコちゃんの心をのぞいちゃったみたいなもので」


母の書いたノートを否定するわけではないのだけれど、「決断」という甘い言葉を使って、「カンニング行為」を正当化したようなものなのだ。


「わたし、やっぱり、人を傷つける才能しか、なさそうです。ごめんな―――」


その声に覆いかぶせるように宮崎さんが抑揚を抑えて「怒るよ」と言った。
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