製菓男子。
キスの合間に、宮崎さんは呼吸の仕方を教えてくれる。
(なんだか金魚になった気分)
わたしは水槽の中にいて、ぱくっと息を吐き出している。
エラ呼吸する魚のように。
「いやじゃない?」
質問には答えられない。
どきんどきんどきんと心臓は魚と違って息継ぎを忘れている。
「答えくれないと、不安。手、もう一度握る?」
首を振りながら宮崎さんの身体にぎゅっと抱きつく。
ぺったりと服が張りついている身体の輪郭に沿って手を這わすと、思った以上に宮崎さんが筋肉質なことに気づく。
(いやだったら全力で逃げていたと思う、たぶん)
言葉ではパニックに陥る脳が、行為に対しては冷静な自分がいる。
「これからはキスで伝えるね?」
そう言った宮崎さんは耳まで真っ赤になっていて、こんな顔今まで一度も見たことがない。
そんな様子の宮崎さんにかける言葉をわたしは持っていなくて、やっぱりそこでも「ごめんなさい」という言葉が喉から突き出てくる。
(そんな顔をさせてしまってごめんなさい)
根っからの謝り体質なのだろう、わたしは。
「藤波さんは謝ることをしてない。むしろ僕が―――――その顔だとわかってないでしょ。藤波さんだから、ここまでするのに」
照れた僕がばかみたいと宮崎さんが肩の力を抜き、脱力した。
(なんだか金魚になった気分)
わたしは水槽の中にいて、ぱくっと息を吐き出している。
エラ呼吸する魚のように。
「いやじゃない?」
質問には答えられない。
どきんどきんどきんと心臓は魚と違って息継ぎを忘れている。
「答えくれないと、不安。手、もう一度握る?」
首を振りながら宮崎さんの身体にぎゅっと抱きつく。
ぺったりと服が張りついている身体の輪郭に沿って手を這わすと、思った以上に宮崎さんが筋肉質なことに気づく。
(いやだったら全力で逃げていたと思う、たぶん)
言葉ではパニックに陥る脳が、行為に対しては冷静な自分がいる。
「これからはキスで伝えるね?」
そう言った宮崎さんは耳まで真っ赤になっていて、こんな顔今まで一度も見たことがない。
そんな様子の宮崎さんにかける言葉をわたしは持っていなくて、やっぱりそこでも「ごめんなさい」という言葉が喉から突き出てくる。
(そんな顔をさせてしまってごめんなさい)
根っからの謝り体質なのだろう、わたしは。
「藤波さんは謝ることをしてない。むしろ僕が―――――その顔だとわかってないでしょ。藤波さんだから、ここまでするのに」
照れた僕がばかみたいと宮崎さんが肩の力を抜き、脱力した。