製菓男子。
「ごめんね。あの、ちょっと手、握ってもいい、かな?」
藤波さんが少年を見上げるようにしゃがむ。
視線があうと、一瞬のうちに少年の頬が幾重にも重なる薔薇の花弁のように赤く染まり、まるで初めて恋を知ったような表情に見える。
少年は魔法がかかったかのように、素直に手を差し出た。
「ちょっと、それはだめだよ!」
ミツキはそれを妨害するようにふたりの間に割って入った。
勢いで藤波さんの華奢な身体が後ろに倒れる。
僕は瞬間的に藤波さんの背後に回って、背中を支えてやる。
「ごめんなさい」
ゆっくりと藤波さんは僕の顔を上目遣いに見た。
藤波さんが謝ることではないのに、いつでも謝っている。
少なくとも僕に対しては。
いつだってその謝るときのその瞳は零れ落ちそうに大きく見えるし、たっぷりの涙をたたえている。
水分量が多いだけなのだろうが、いじめている気分になる。
藤波さんが少年を見上げるようにしゃがむ。
視線があうと、一瞬のうちに少年の頬が幾重にも重なる薔薇の花弁のように赤く染まり、まるで初めて恋を知ったような表情に見える。
少年は魔法がかかったかのように、素直に手を差し出た。
「ちょっと、それはだめだよ!」
ミツキはそれを妨害するようにふたりの間に割って入った。
勢いで藤波さんの華奢な身体が後ろに倒れる。
僕は瞬間的に藤波さんの背後に回って、背中を支えてやる。
「ごめんなさい」
ゆっくりと藤波さんは僕の顔を上目遣いに見た。
藤波さんが謝ることではないのに、いつでも謝っている。
少なくとも僕に対しては。
いつだってその謝るときのその瞳は零れ落ちそうに大きく見えるし、たっぷりの涙をたたえている。
水分量が多いだけなのだろうが、いじめている気分になる。