製菓男子。
テーブルにつっぷしておかあさんがねている。
目もとはこすれたように赤くなっている。
(ほんとだおねえさんの言ったとおりだ! もんげんすぎててもおこられないっ)
「―――ひろ」
ぼくが近づくとおかあさんはそうつぶやいた。
(ぼくがなかせちゃったのかな? おねえさんは赤ちゃんのおせわが大変だからねてるって言ってたけど)
カランとおもちゃの音がなった。
テーブルのそばにベビーベッドがあって、のぞくとゆずちゃんがきげんよく笑っている。
ゆずちゃんは小さな手でにぎれる、にぎると音が出るくまさんの形をしたおもちゃを必死になめている。
(かわいいなぁ)
ゆずちゃんはきっと、ぼくたちのことを心配しておかあさんを起こさないようにしてくれたんだね。