製菓男子。
そしてその翌日から店に立つことになって、荒川さんは抜き打ちで来店するようになった。
わたしが働き出してから一週間、三度は来た。
そしてわたしの身なりをチェックし、だめなときは「いい加減覚えろ」と青筋を立てる。
そのくせ恐怖に震えるわたしを「もっと泣け」とおもしろがって、そうかと思えば「次頑張ろうな」と薫る言葉を残していく。


荒川さんという人が、わたしにはよくわからない。



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