製菓男子。
「ミツキ、苦手はよくないって、よく言うから」


(「見ていた」または「読んでいた」とおそらく言葉が続くんだろうな)


塩谷さんほどの理解力を持っていないから当たっているかどうかわからないけれど、宮崎さんの言葉を補足しながら聞いていく。


「でも、子供って?」
「大人のすききらいをなくす本、見つからない」


本に再び目を落とした宮崎さんの頬は赤らんだままで、照れているようだった。
その姿はマジパンのうさぎみたいでやっぱりかわいい。


「買いますか?」


宮崎さんは唸ったあと、ちょっと待っててとレジに向かって行った。
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