製菓男子。
購入し終えた宮崎さんが戻ってきてから外へ出た。
書店に着いた頃は涙を流すようなしとしと雨だったけれど、それが号泣に変わったようで、お客さんたちは店の軒先でこぞって空を見上げている。
どうやら人類は神さまの機嫌を損ねたらしい。
宮崎さんの傘は無地の薄灰色の傘で、わたしの傘はどこにでもあるような透明なビニール傘。
傘立ての中で格子のしっかりしている宮崎さんの傘の隣に並ぶと、わたしの傘はとてもみすぼらしい。
(ちゃんとした傘を買いに行ってみたいな)
今日は宮崎さんに手伝ってもらったけれど、ジャンプをひとりで買えたことが自信になって、勇気が湧いてきた。
「バイト、終わり?」
宮崎さんは空を見上げていたひとりの、男子高校生に話しかけている。
その制服は若葉高校のもので、胸もとにある校章は青色だ。
この高校は学年によって校章の色が変わるから、計算すると高校二年生だと思われる。
レッスン中の宮崎さんは知らないけれど、少なくとも店内でお客さんと気さくに話しているところを見たことがない。
この高校生は宮崎さんと親しい間柄なんだろうな。
書店に着いた頃は涙を流すようなしとしと雨だったけれど、それが号泣に変わったようで、お客さんたちは店の軒先でこぞって空を見上げている。
どうやら人類は神さまの機嫌を損ねたらしい。
宮崎さんの傘は無地の薄灰色の傘で、わたしの傘はどこにでもあるような透明なビニール傘。
傘立ての中で格子のしっかりしている宮崎さんの傘の隣に並ぶと、わたしの傘はとてもみすぼらしい。
(ちゃんとした傘を買いに行ってみたいな)
今日は宮崎さんに手伝ってもらったけれど、ジャンプをひとりで買えたことが自信になって、勇気が湧いてきた。
「バイト、終わり?」
宮崎さんは空を見上げていたひとりの、男子高校生に話しかけている。
その制服は若葉高校のもので、胸もとにある校章は青色だ。
この高校は学年によって校章の色が変わるから、計算すると高校二年生だと思われる。
レッスン中の宮崎さんは知らないけれど、少なくとも店内でお客さんと気さくに話しているところを見たことがない。
この高校生は宮崎さんと親しい間柄なんだろうな。