製菓男子。
「休日でも制服?」
「午前中部活で、一時からバイトだったから着替えてる暇なくて」
(学ランでアルバイトってできるのかな? そもそも校則違反だった気もするし)
盗み聞きしているわけではなかったのだけれど、脳裏に疑問が浮かんだ。
それも一瞬のことだ。
男子の制服は女子と違って脱ぎ着がしやすいから、上着を脱いでシャツかTシャツになればいいだけ。
そうすれば接客も可能なのだろうと思い当たった。
(申請出してたら、公認でアルバイトできるし。あとは内緒でやってる、とかかな)
「傘ないの?」
「それが持ってなくて。こんなに降ると思わなかったなぁ」
高校生は再び空を見上げて、吐息をついた。
大人になりそこねたような高校生の身長はわたしよりも低いし、声も幼さが残っている。
「傘、貸す」
「そしたらゼンくんが濡れちゃうよ」
「車、すぐそこ」
「すぐそこの距離でも、この雨じゃ」
「大丈夫、この子に入れてもらう」
高校生は初めてわたしの存在に気づいたような素振りをみせてから、視線をあわせてきた。
「午前中部活で、一時からバイトだったから着替えてる暇なくて」
(学ランでアルバイトってできるのかな? そもそも校則違反だった気もするし)
盗み聞きしているわけではなかったのだけれど、脳裏に疑問が浮かんだ。
それも一瞬のことだ。
男子の制服は女子と違って脱ぎ着がしやすいから、上着を脱いでシャツかTシャツになればいいだけ。
そうすれば接客も可能なのだろうと思い当たった。
(申請出してたら、公認でアルバイトできるし。あとは内緒でやってる、とかかな)
「傘ないの?」
「それが持ってなくて。こんなに降ると思わなかったなぁ」
高校生は再び空を見上げて、吐息をついた。
大人になりそこねたような高校生の身長はわたしよりも低いし、声も幼さが残っている。
「傘、貸す」
「そしたらゼンくんが濡れちゃうよ」
「車、すぐそこ」
「すぐそこの距離でも、この雨じゃ」
「大丈夫、この子に入れてもらう」
高校生は初めてわたしの存在に気づいたような素振りをみせてから、視線をあわせてきた。