製菓男子。
(いつも迷惑をかけている分、少しでも役に立ちたいんだけど)
そう思いながらわたしは自室のクローゼットの前に立っている。
この茶色い木目の箱の中には冬物のコートとかロングカーディガンだとか、アイロンがパリッときいた白シャツだとかが入っている。
そしてそれに雑じって忘れ去りたい過去のものもある。
わたしは目をぎゅっと閉じて扉を開け、恐る恐る、片目ずつ開けて見る。
ソイツは目に色鮮やかに飛び込んできた。
若葉色のラインの入った紺地のソイツ。
当時わたしが着るとどうしても野暮ったくみえていたソイツ。
ほかの同級生が着ると同じものなのに眩しいほどに煌びやかになるソイツ。
クリーニングに出されたままで、ビニールの中で眠っているソイツ。
(捨て方がわからなくて取っといただけなんだけど、まさか役に立つとは……)
そう思いながらわたしは自室のクローゼットの前に立っている。
この茶色い木目の箱の中には冬物のコートとかロングカーディガンだとか、アイロンがパリッときいた白シャツだとかが入っている。
そしてそれに雑じって忘れ去りたい過去のものもある。
わたしは目をぎゅっと閉じて扉を開け、恐る恐る、片目ずつ開けて見る。
ソイツは目に色鮮やかに飛び込んできた。
若葉色のラインの入った紺地のソイツ。
当時わたしが着るとどうしても野暮ったくみえていたソイツ。
ほかの同級生が着ると同じものなのに眩しいほどに煌びやかになるソイツ。
クリーニングに出されたままで、ビニールの中で眠っているソイツ。
(捨て方がわからなくて取っといただけなんだけど、まさか役に立つとは……)