製菓男子。
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仕事に行く父と兄を送り出してから、洗濯や掃除などの家事を一通りこなし、制服に着替えた。


胸を強調するようなピッタリとした白シャツに、黒のミニスカート。
その上にペプラムと呼ばれる形をした灰色のチェック柄エプロンを装着する。
全体的にレトロで、けれど白シャツにはフリルが多用してあって、おとぎの童話に出てきそうなメルヘンさが漂っている。


高校を卒業して以来、制服という煌びやかなものに再び袖を通すことになるなんて露にも思わなかった。


(できるならこの制服を売り飛ばし、無収入であるわたしのお小遣いにして、ニート生活に戻りたい)


そう思っていると出勤時間が迫ってきてしまい、今日もおざなりのメイクになってしまう。
洗面所の鏡の中の自分の顔が、荒川さんの怒り顔に変わったような気がする。
目の錯覚だとわかっていたけれど、わたしは心の中で謝罪しながら家をあとにした。
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