ミリオンラバー
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柚羽が彼と出会ったのは入学式だった。

退屈な入学式が終わり、それぞれの教室に向かうと途中の出来事だった。

体育館と校舎をつなぐ渡り廊下を新入生がぞろぞろと歩いていた。

グラウンドではこんな日でも野球部が練習をしている。

そんな姿を柚羽はぼーっと見つめていた。

良くやるよなー

とぼーっと考えながら。

あまりにもぼーっとしていたからだと思う。

目の前に野球ボールが見えても柚羽はよけることもしなかった。

おーなんか飛んでくる

周囲にどよめきが走り、少し後ろを歩いていた友人の真理が「柚羽!」

と叫んでようやく気がついた。

あれ?私に向かってくる。

そう。野球部員が打ったホームランが柚羽めがけて飛んで来ていた。

ぶつかる!と思い目をつっむたがいつまでたっても痛くない。

何で?と思い目を開ける。

そこ居たのは、

無愛想な顔

太陽の光を浴びてキラキラ光る脱色した茶色の髪

そしてキラキラ光るたくさんのピアス

ボールは彼の手に握られていた。

「すいませーん」

と走ってきた野球部員に彼はさっとボールを投げ返し、スタスタと先を行った。

「柚羽!大丈夫?」

真理が駆け寄ってきたが柚羽の目には彼しか見えていなかった。

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