ミリオンラバー
お礼も言えず、名前も聞けなかった。

自分の愚かさを呪ったが、天は柚羽を見捨てていなかった。

新しい教室に何と彼の姿があったのだ。

一番後ろの席で無愛想に座っている。

明るい茶の髪は初々しい新入生ばかりの教室で完全に浮いていた。

そしてお礼を言うつもりで近づいた柚羽の口から出た言葉は

「好きです!私と付き合ってください!!」

その言葉に、無愛想だった彼の表情が一瞬で驚いた表情に変わった。

そして今に至るというわけである。
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