ミリオンラバー
光本がやっと頭をあげた。

「いいのか?殴らないのか?」

小暮は苦笑した。俺のことなんだと思ってんだ。

「殴らねーよ」

「そうか…ほんとにごめん…。あ、じゃあまあ気をつけて帰れよ」

言いたいことを言った光本は教室に帰ろうとした。

ふとこのままで終わっていいのだろうか、という考えがよぎった。

今がチャンスなんじゃないのか?

そう思うのと同時に声が出た。

「待て!」

「何だ?」

少しびくびくしながら光本が振り向いた。

「俺も、悪かった。疑われても仕方ないと思ってる。文化祭の準備とか全然参加してねーし」

光本が驚いた顔で小暮を見つめた。

「その、だから、次から…ちゃんと参加するから。俺も協力する…」
< 60 / 104 >

この作品をシェア

pagetop