不等辺三角形。
朝練習は始まるのが早い。
朝6時半からだ。
こんなに早いのは、遅くなると他の部活動で使う部が出てくるから。
眠い目をこすりながら、俺たちは学校へついた。
まず、パートを分けた。
俺と潤はテノール。
朔はバス。
あとはパート練習があるだけだった。
「三上くん」
声をかけてきたのは、指揮者の1人である華純だった。
声をかけてきた、と言っても、
それは俺にではなく、潤に、だ。
「なに?」
潤が答える。
華純は各パートを回っているらしく、
肩につくかつかないかの髪が首や頬に貼りついていた。
「三上君、この中で今1番、音程とれてるよ。
パートリーダーになってくれない?」
もしかしたらこの時から、俺にチャンスなんてなかったのかもしれない。
「別にいいけど……」
不安そうに潤が答えた。
俺は何も考えずに、がんばれ、と言った。