姫はワケあり黒猫様
『……黒鷺 那琉-Kurosaki Naru-です。
えーと…これからよろしくお願いします』
棒読みでそう言うと、皆にバッと目を逸らされた。
……おいっ失礼だなっ‼
頬を引き攣らせて笑っていると、洸に横目で見られて爆笑された。
……ふふ、痛い目に遭いたいらしい。
横腹を殴ると、洸は黙ってそこを押さえながら教室の奥の方を指差した。
その方向を見てみると、1つ……じゃなかった。
3.4個空いた席のほぼ真ん中を差していた。
……まさかのあそこ?!あれ、私の席?!
目を見開いて洸を見るとうんうんと頷いてた。
頷くなぁぁあーー‼
『あの空いてる席何すか?!』
「ぇ?……生徒の席?」
『わかってるゎハゲ‼」
「ハゲてねぇし‼」とつっこむ洸を無視して最大限に落ち込んだ。
うわぁ、あれだわ。
絶対あれだよ。
あの、あれ。
不良だよ、不良。
あ、全員不良か。
もう何を言ってるのかわからない程困惑してると、背中を押された。
「大丈夫だから、行けっ!」
お前も逝けっ‼←
心の中で呪文を唱えながら席にイヤイヤつく。
はい。
右隣と前と斜め前と……色々居ませんけど。
泣いていいっすか……
自問自答する私って悲しい子なんだろうか………
机に突っ伏して軽く現実逃避してみる。
別に意味ないけど。
欠伸がまた出て、うとうとし出す。
酸素足りないのかな…
そんな事思いながら眠りに落ちた。