姫はワケあり黒猫様
「……じゃぁ、英語はこれから那琉に教えてもらう」
玲は私の頭に手を置いてくしゃっとかき回した。
「玲は英語だけ10点台だもんね。いつも。悪い時は一桁。」
『え゛?』
遠矢は何でも無いような顔で言ったけど…
『10点台?!』
「あぁ」
『どーやったら取れるのよ?!』
いや、今回のは記号問題とか並び替えが多かったし、だいじょうぶだろ?!
「玲は大体英語さえよけりゃあ学年主席もとれそうなのにさー。」
佳祐は笑って玲を見る。
玲は不機嫌な顔で「あ?」と唸った。
『…うん、これから私が教えよう』
笑ってそう言うと、玲は目を見開いて私を凝視してからパッと目を逸らした。
遠矢と響、優はニヤニヤとしながら玲を見て楽しそうにしていた。
……夕季のことを紅羅が慰めていた光景は……見えなかったことにしよう。うん。
「くっそぉぉぉぉおお‼」
夕季の低い悲鳴が職員室にまで届いて、ビビり上がらせたらしいけど。
まぁ、夕季って声でかいのね。意外。
そんな呑気なことを考えていると、黒髪が目の前でしゃがみこんだ。