姫はワケあり黒猫様
鉄の部屋
テストも終わり、もうすぐ夏休み。
そんなこんなで、倉庫で色々な会議をするとのことです。
だから私も呼ばれた。
まぁ、ジュース飲みながら質問に答えてるだけだけど。
「7/23は?」
『んー、空いてる』
「7/24は?」
『んー、空いてる』
そんな会話を繰り返すばかり。
暇だ、面倒くさい、ジュース美味しい、面倒くさい。
かの有名なりんご社の手持ち用を遠矢に押し付けて、玲の肩にもたれかかる。
『あー、眠い』
「……」
「……めっちゃくちゃ無自覚だよね」
ニコリと笑った優は訳のわからないことを言って目を瞑った。
「……よし、写し終えた。
ありがと、那琉」
『うむ』
それを受け取り、バックの中に押し込む。
んなぁ~暇だ。
『玲~暇』
「……」
玲は私を見て考えるように口元に手を置いてから紅羅を呼んだ。
「何?」
紅羅はゲームを中断して私達のところに来た。
「那琉の相手してやれ」
「あー、ゲームする?」
『うー?見ているだけでいいー』
「そーか…」
玲はまた思案げに顔を歪めると、優が立ち上がった。
「那琉、海に行ってみようか」
『海?』
優は笑いながらそう言った。
急にどうしたんだろう…
不思議に思って優の顔を覗き込むと、優は笑った。
「行きたくないなら、いいよ」
『……行く~』
怠いけど、何か怠いけど……
何だか、優を1人にしてはいけないと思った。