姫はワケあり黒猫様



突然響いた着信音が自分だと携帯をとった。



「はい……「那琉が………ッ‼」




電話にでた途端大声を張りあげる優。




「那琉、が、何かあったの?」





恐る恐るそう聞くと、優は掠れた声で言った。






「………っ離れた隙にどっか連れ去られた…」









ソファーの隙間を挟んで隣に居る玲には聞こえたんだろう。




玲はすぐさま部屋を出て行った。








「わかった、俺達も捜す‼何かわかったら電話するし、電話して」




「わかった」





携帯を閉じた時には、皆不安そうな顔で俺を見ていた。




「…那琉が、どっかに連れ攫われたらしい」




その言葉に紅羅と佳祐がすぐに反応して立ち上がる。


夕季と響も考え込む素振りを見せながら立ち上がった。





「とりあえず、捜してくれ」




「了解」


「何かわかったら電話、だよね」




「サッサと行くぞ」



「どこだよ…」










口々に不安を紛らすような言葉を吐きながら急いで全員で部屋を出た。




倉庫内は誰も居なくてシャッターも閉められていた。




玲が行く前に言ってくれたんだろう。





抜け目ない総長を尊く思いながら倉庫から出た。

















那琉、何処に居るの?

















遠矢side-end-





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