姫はワケあり黒猫様



佳祐side





「クッソ……どこだよ…‼」



息が切れるのも気にならないくらい那琉への意識が高まっている。






ただ、街中見ても居ないし、族も手当たり次第に訪れても何も無かった。








歯痒い、そんな言葉がピッタリの気持ちに空中を睨み据える。









気が立ってきた頃、玲から着信があった。








「玲?!どうかしーー「龍黎。最近できた真新しい族。溜まり場は××公園前倉庫。




那琉はそこに居る。





蒼月の奴等全員でそこ行くように指示しろ。俺は先に行く」





龍黎?



真新しいくせに、蒼月の姫である那琉を攫うのか?



一瞬戸惑ったがすぐに考えを捨てて那琉の安全を優先する事にした。






「わかった‼



先、頼んだぞ‼」




「言われなくてもわかってる。切るぞ」






言葉通りブチっとすぐ様切った玲の必死さに何だか笑えた。









情報係の遠矢にすぐに電話をいれる。




「何、佳祐。



雑談してる暇は無いよ?」




「それこそ雑談だっつーの‼


那琉の居場所が特定できた‼




××公園前倉庫を溜まり場とした最近できた龍黎っつー族だ‼



急いで蒼月全員で来いってことだ‼」






「わかった、玲、もう先に行っちゃったんでしょ?




なら、佳祐も先行ってて。



すぐに追いつくから」



「わかった、頼んだ」







携帯を切ってすぐに走り出す。








まだ、何も無いでくれ…





冷や汗がこめかみを流れ落ちるのを感じながら全速力で走った。














< 135 / 297 >

この作品をシェア

pagetop