姫はワケあり黒猫様
公園前、といってもだいぶ離れた所に倉庫はあった。
「玲‼」
既に蹴破られたらしいシャッターの入り口から玲を呼ぶと、入り口付近で喧嘩をおっぱじめていた。
「早っ!」
驚いて逆に呆れていると玲が周りに居た最後の1人を殴って俺を振り向いた。
「お前も手伝えよバカ‼」
「………あ、」
忘れかけていた。←
頬を叩いて鞭打つと、俺は玲の隣に駆け寄った。
「第二軍、こりゃ第三軍も居ますな」
「呑気に喋ってんじゃねぇよ」
「いやぁ、苛立ちすぎて頭がおかしくなりそうなんで喋ってます」
玲はチラリと俺に目を向けて溜息を吐いた。
「声はふざけてるかと思えば顔は最高級にワルいな」
「いやぁ、お褒めに預かりまして光栄です」
「………」
とうとう無視した玲は殴り倒して奥へ奥へと進んで行く。
「あれ、何で屍がこんなに…」
後ろで間抜けな声が聞こえて後ろに目を向けると奴等が頬を引き攣らせて玲を見ていた。
「………玲、怖いんだけど」
「早く加勢しろよ‼
那琉がどうなってんのかわかんねぇ‼」
「………」
無言で遠矢達は俺達に走ってきて
「悪く思わないでね」
と言って殴り始めた。
………鬼。
そんなことを思いながら焦り出した気持ちを抑えて的確に相手を倒していった。