姫はワケあり黒猫様
「後は頼んだ」と玲が俺に目配せしながら作った一本道を素早く突き進む。
俺もついて来い、と。
溜息を吐きながら玲の後ろをついて行った。
突き進んだ先の真っ正面にあるまさにそれらしき扉がある。
鉄で所々赤錆の見える不気味な扉に寒気がした。
「………」
難なく扉を蹴飛ばす玲の足に驚きながらもずんずん中に入って行く玲の足が止まったことに疑問を抱き、視線を辿ると…
那琉が、男に組み敷かれてキスをされていた。
手には手錠がかけてあって、すこし手首が赤くなっている。
「………那琉」
玲が次の瞬間近くに駆け寄り男を蹴飛ばす。
『れ、』
「那琉、大丈夫か?!」
俺が駆け寄って那琉を抱き起こすと那琉は玲を見て口を開きかけて蹴飛ばされた男を見た。
「てめぇ………殺すぞ」
玲が恐ろしい言葉を吐く中、那琉は顔を青くした。
拳を後ろに引いた玲を見て、那琉は叫んだ。
『煉は殴らないで‼』