姫はワケあり黒猫様




「………は?」




「…おい、那琉……」





蹴飛ばされた男は立ち上がって顔を上げた。



その顔がひどく美しく、凛々しい表情をしていた。



『煉は、本当は……』




「那琉!」





那琉の言葉を遮る煉、と呼ばれた男。





龍黎なんて知らねぇし、何なんだ?



俺達が恨みを買う事をしたのは、覚えがない。








「那琉……、どう言う事だ?」





少し疑問が絡まってきた頃に玲が那琉に問い質した。

















「あー、もういいよ。」











龍黎の総長らしき煉ははぁ、と溜息を吐きながら那琉に視線を向けた。








「俺が、那琉に頼んだんだよ。




喧嘩できるように仕組んでって」






「あ゛?」



『……』






衝撃を受けるその言葉に唖然とした。









「……まぁ、那琉とはちょっと面識あってな。




偶々No.1の姫が那琉だって言うから、喧嘩ができるように仕向けてもらったのさ」





おわかり?とバカにしたように言う煉にイラっとしながら口を開いた。





「……喧嘩がしたいだけなのか?」




「うん。そ。




順位とかはどうでもいいんだよ。



ただ、俺達“龍黎”はバイクと喧嘩の好きな集まりだ。




だから、一度利用させてもらおうと思って。」






ニコリと笑った煉に冷たい感情を抱きながら溜息を吐いた。











< 138 / 297 >

この作品をシェア

pagetop