姫はワケあり黒猫様
「……那琉、本当に何も無いんだな?」
『うん。
煉は知り合いだし』
まぁ、君、キスされてたけどね。
そうツッコミたかったが、玲が心配そうに聞くのを見てやめた。
欠伸を零すと、鉄の半開きの扉が開いた。
「あ、終わった?」
遠矢がケロリとした顔で部屋を覗き込んでくる。
那琉も玲に立たせてもらっていて、何となく和やかになった空気。
『……玲、』
「……龍黎、お前等は俺達に負けた。
解散か傘下に入ることを選ばしてやる」
そう言った玲に煉は微笑んで那琉に視線を向けた。
「那琉、どっちがいい?」
『……何で私』
「ん?決められないから」
解散なんて嫌だし、蒼月の下に入って素直に従う自身も無い。
だから、那琉に。
とんだ自己中だな。
『……傘下、入れば?
また会えるし』
「まぁ、それもそうか。
なら、龍黎は蒼月の傘下になろう」
にこりと笑った煉はさっぱりした顔をしていた。
佳祐side-end-