姫はワケあり黒猫様
傘下大集合!
「那琉、これで手首冷やしな」
『ん?あ、ありがと』
遠矢が私に可愛らしい保冷剤をハンカチにくるんでくれた。
まー、可愛い保冷剤だこと。
それを手首に押さえていると、視界の端で優が唇を噛んで拳を握りしめているのが見えた。
『……』
悲しく思いながらも、車の中では何も出来ず、押さえる力をぐっと強くした。
「夕季、傘下に明日集合かけといてくれ」
「ん……」
夕季は側に置いてあったノートパソコンを起動させてカチカチと高速で打ち込んでいた。
ぼうっと、早く着け、と願いながら倉庫へと走る車の床を見ていた。