姫はワケあり黒猫様
パタン
音をたてて閉じられた扉を確認して私と優はいつもの場所に座った。
いつも玲が隣に居るのに、居ないからか少しソワソワした。
「……ごめん」
俯いた顔を上げずに小さく、本当に申し訳なさそうにそう呟く優は肩が震えていた。
『……優さ、』
近寄ってしゃがむと、びくりと大きく揺れる広い肩。
顔を覗き込むと悲痛に顔を歪めていた。
『バカだよね』
「……は?」
予想をはるかに上回る反応を見せた優に頬が小さく引き攣る。
『……ごめん。』
私が、逃げたのが悪いのに。
『……自分を、悪者にさせてごめんね』
こんな言葉で謝り切れるなんて思ってないけれど、
言わないと、気が済まなかった。
「……っちが…」
優が咄嗟に上げたらしい顔の頬目掛けて手を伸ばす。
バシッ
少し…大分痛そうな音をたてた頬と手の平を気にすることもせず、目を合わさせた。
『力になってくれるんでしょ?』
言ってることが最悪だって、自覚してる。
でも、
『なら、堂々としてなよ』
優は、わかってくれるって、
よくわからない確信があるんだ。