姫はワケあり黒猫様
………絶対そのうち腕とれるよ。
肩から根こそぎとっていかれそうでゾッとしたけど、朝霧の低い声に現実を呼び戻された。
「………お前、今日暇か?」
………暇…
『んー…ケーキ食べないといけないから暇ではないかな』
思わず緩んだ頬を抑えることもせずミルフィーユの姿を頭に浮かべた。
「…バカですね」
にゃにおう?!
黒縁のメガネを睨みつけると、フッと鼻で笑われた。
「あー…
まぁ、関わることになるからさ?
俺は穂波 佳祐-Honami Keisuke-。」
片手を上げてヘラっと笑う穂波。
茶色の短髪でその髪型と無邪気な笑みでか元気少年っぽい雰囲気を出している。
ちなみに、朝霧は黒髪に蒼のメッシュを入れている。
「俺は赤木 遠矢-Akagi tooya-。」
赤木は黒髪に銀メッシュをいれていて、冷たい笑みに意地悪な印象を受ける。
「俺は新島 響-Niijima Kyou-。
連絡先教えてー?」
茶髪に赤のメッシュが入った柔らかそうな髪。
人懐こい笑みだけど、どこか人を突き放すような目に冷たい印象がある。
「俺はねー、羽間 紅羅-Hazama Kura-。
よろしくねー」
ダークブラウンとそれより明るいブラウンの二色の髪と幼い顔。
何がよろしくなのか知らないが、私を楽しそうに見ることに違和感を感じる。
「………木立 夕季-Kodachi Yuuki-。」
眠そうに目を擦りながら言うその子は黒髪に紫のメッシュ、どこか人間離れした雰囲気を纏っている。
「全員覚えたー?」
楽し気に聞いてくる穂波。
『ん。
朝霧、穂波、赤木、新島、羽間、木立。
合ってるでしょ?』
人差し指で一人一人指し示しながら言うと、皆はぽかんと口を半開きにした。
………ん?!
間違えたか?!
「………合ってるけどー…
下で呼んでよ?」
穂波が困ったように頭の後ろを掻きながら眉を下げた。
『………いいの?』
「うん、いいよ。
全員下で呼んで?」
笑う穂波…改め佳祐に笑うとパッと目を逸らされた。
………ここの学校は私の顔が嫌いらしい。
イラっとしながらも何も言わず欠伸を零した。