姫はワケあり黒猫様
よし、ミニサラダ付きパンにしよう。
「決めた?」
『うん』
すると、佳祐がボタンを押した。
「ご注文受けますっ!」
わお。
声裏返ってるし、敬語使えてないし。
笑いを堪えていると玲が呆れたように私の頭を叩いた。
「エビグラタン、クリームパスタ、ミートパスタ、イカスミパスタ、和風ハンバーグ、チーズハンバーグ、チーズドリア、マルゲリータピザを3個、サラダ2個…サラダ付きパン」
「以上でお決まりですかぁ?」
猫撫で声で口紅でぎっとぎとの唇を上げながらそう聞く店員。
「はい」
遠矢が、まるで「さっさと行け」と言うような冷たい声音でそう告げる。
「かしこまりましたぁ。
すぐお持ちしますねぇ」
最後に睨まれた気がしたんだけどッ。
怖っ‼女怖っ‼
「……あのアマ殺す」
「こらこら、玲、そこは抑えろって」
響が困ったように笑いながら携帯をしまう。
携帯好きだねぇ。
そんなことを思ってると夕季が机に突っ伏した。
「あー、眠ぃよ…無理…死ぬ……」
「ご飯くるんだからやめてよ」
紅羅が嫌そうにそう言って夕季から離れて私に擦り寄る。
………
『近い。離れて』
「やだぁ…」
…何だこの可愛い生物。
キュンキュンしていると、店員の猫撫で声がまた聞こえてきた。
「お持ちいたしましたぁ。」
全ての料理が一気にきて、机に並べられていく。
『………』
何ですか、この量。
『コレ、全部食べられるの?!』
「あぁ。大丈夫だ」
いやいやいや。
半端じゃ無いよ、この量。
頬を引き攣らせてる間にも皆は自分の頼んだ料理を頬張っている。
………ふぅ。
溜息を1つ吐いてからパンをかじり始めた。
「…那琉が頼んだかと思えば…そんな少量のものだからか」
優が溜息を吐きながらミートパスタをフォークで巻く。
『何さ』
皆でつっつく用のピザを1枚丸々渡されそうだったけど阻止して1切れだけ頂いた。
皆で笑い合いながら食べるご飯はとても美味しかった。
だけど、すぐに時間は過ぎてしまうモノだった。