姫はワケあり黒猫様
響side
「何なんだ、あいつはー」
苦笑すると玲が重々しく溜息を吐いた。
「大変だね、那琉って」
項垂れた紅羅は顎を引いてぐでっと寝た。
遠矢も苦笑して「大変だね」と玲に呟いていた。
佳祐と夕季は笑いながら皆を見てるし。
那琉はどこかズレてる。
というか、警戒心が無い。
「……玲、頑張れ」
哀れみの込めた言葉を吐くと、玲は少し口角を上げて小さく呟いた。
「……一生離さねぇよ。」
男の俺でもゾッとする程の色気を感じた。
紅羅は笑いながら腕でほんのり赤くなった顔を隠した。
優は眠いらしい目をこすりながら悲しそうに目を伏せた。
……
頑張れ。
あの子は…
消えて…しまうから。
何となく、俺達はこの頃から
感じていたんだ。
響side-end-