姫はワケあり黒猫様




「わざわざ悪いな……」


「いえ、遠くの傘下への回り、ご苦労様でした」



ニコリと笑う南美さん。




「あ、自己紹介がまだでしたね。」





申し訳なさそうに眉を下げて私を見てから微笑んで口を開いた。





「僕は天野 南美-Amano Minami-です。



雷響の総長をさせてもらってます」




綺麗な笑みを浮かべる南美さんはとても族の総長をしているように見えない。




「雷響副総長、加藤 希一-Katou Kiichi-だ」



しっかりとした口調でハキハキと話すしっかり者そうな人は希一さんというらしい。




「次、俺か?


俺は奏夏の総長、木村 鉄平-Kimura Teppei-ですわ。姫さんよろしくしてな?」



無邪気な笑みを浮かべる鉄平さんは、やっぱり方言が入ってる。





「奏夏副総長、菜一 寛人-Naichi Hiroto-」





ウトウトと眠そうな瞳をした人は寛人さんらしい。





『……えと、自己紹介わざわざありがとうござました。




私は黒鷺 那琉です。』




少し微笑んで言うと南美さんはクスクスと笑った。




「それで、今回は如何程のご用件でしょう?」




突然、優しい目を鋭くさせて玲を見据える南美さんに、私はビックリした。



人間、ここまで変わるんだなぁと思わされた。



「……あぁ。



この前那琉が拉致られた件で1つ提案が上がった」





「……と、申しますと?」



南美さんが聞き返したら鉄平さんはスッと目を細めた。





「あぁ。


龍黎総長、平本 煉が傘下に入りたいとのことだ」





「……傘下に、かいな…」




思案げに眉を寄せた鉄平さんと南美さんは目を伏せて顎に手を置いて何かを考えている。





私は何も言えないけど、





煉がどうこうなるのは、嫌だ。





沈黙が続き、不安になって玲の服の裾を引っ張ると玲はその手を握ってくれた。













暫くその沈黙が守られた後、南美さんが口を開いた。

















「別に、いいんではないでしょうか」



















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