姫はワケあり黒猫様
「……お前、あの事あいつ等に言ってねぇだろ」
いつも座ってるらしいソファに座って煙草を吸う煉。
玲ぐらいに大人びた雰囲気を醸し出す煉のことが、私はどうも苦手だ。
『……言わなくてもいい』
「まぁ、言ったところで何も変わんねぇかもな。」
ボーッとしてる煉は紫煙を吐きながらふと私に目を向けた。
「……だが、俺は変わったぞ」
『え……?』
「言ってから」
また私から視線を外して、空中を見据える煉。
「……俺等龍黎は、ワケありばっかだ」
煉はふと、感情を宿していない瞳でそう告げた。