姫はワケあり黒猫様
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「運動かーーーい‼」
「体育祭だよ」
紅羅が叫んだのに遠矢がツッコんで響は蔑んだように紅羅を見た。
「まぁ、今日くらいは紅羅の馬鹿さも許してやろう?」
優が名前の通り優しくそう言った。
………全然フォローできてないけどね。
「何気に貶してない?」
紅羅が半泣きでそう言ってるのに、隣の玲は舌打ちして知らんぷりをした。
酷い、この人達皆紅羅の扱いが酷い。
『紅羅だって人なんだから、可哀想じゃんか』
「那琉ぅ~」
紅羅はグスッと鼻を啜りながら私に抱きついてきた。
それを何とか受け止めると紅羅は本当に泣きそうな顔をしていた。
………何か、本当に子供だよね。
グイッ
……今度は何ですか。
とか思いながらも絶対に玲だと思った。
『玲、どーしたの』
「……前に言った気がするんだけど」
機嫌が悪そうにそう言う玲に首を傾げる。
玲は一層機嫌が悪そうにして私の腕を引っ張って何処かに歩き始めた。
それに抗う術もなく、玲におとなしくついていった。
「玲~、11:00には100Mだから帰って来いよ~」
そんな佳祐の声が聞こえたけど、玲と私は無視して校舎に入っていった。