姫はワケあり黒猫様
崩壊の音色
はい、改めて那琉です。
主人公です。
主人公なのですが。
とてもドキドキしています。
ん?何故かって?
彼氏ん家行くのにドキドキしない人って、居る?
もうやだなー。帰りたいなー。
…うそ。めっちゃ行きたい。
あー、何言ってるんだろ私。
玲が迎えに来てくれるらしいから、家で待機中。
服はというと、ワンピースにカーディガン……
何て可愛らしい服装じゃなく。
ショーパンにタンクトップ、ネコ耳付きのパーカー。
ネコ耳にだけは可愛さを感じるけど。
それ以外女気ゼロだよね。
悲しくなってくるわ。
自分でも壊れたと自覚しながら心臓を落ち着かせていると、玲からのメールがあって、下に急いで降りた。
「遅くなって悪かったな」
『い、いや別に……』
「……緊張してるのか?」
『してないッ‼』
その言葉に即答すると、玲はクッと喉で低く笑った。
運転手さんの目も気にせず口論しているうちに、運転手さんから「着きました」とお声がかかった。