姫はワケあり黒猫様
『疲れたー。体育祭の次の日なんだけど』
「こっちだって疲れてんだよ」
『ならやめればよかったのに』
「……うるせぇ」
チッ、と顔を赤くしながら舌打ちする姿が可愛すぎて笑った。
何気ない会話をしていると、玲の携帯が鳴った。
携帯を手にとってピッタリと動きを止める玲。
疑問に思って首を傾げると玲はポツリと呟いた。
「おフクロ…」
『お母さん?早くでなよ』
「……」
ピッ、と静かな音を立てて無言で耳に携帯を当てる玲。
いや、もしもし。とかはい。とかあるでしょーよ。
「あぁ……部屋。
あ?……わかった」
ブチッと音を立てて勢いよく切った玲は私に申し訳なさそうな顔を向けた。
「おフクロと親父が帰ってきた…」
……え?
『は、早くない?』
「もう7:30だぞ」
うそぉ?!
『えっ服っ……!』
「急いで着ろ。
あいつはうるせぇから早くしねぇと」
玲もそう言いながらベッドから起き上がって服を着る。
私も、服を慌てて着ると2人で部屋を飛び出した。