姫はワケあり黒猫様




ーーーー



『……晴天だ』



「やっべ、綺麗な空!撮っとこ」



「はー…」





…アホ一名、どうでもよさそうなの一名。






まぁ、お察しの通り旅行カバンを持って乗り込んでますよ。車に。





車から写真を撮って太陽の光にやられてるバカもいるけど、なんだかんだで楽しそうだ。




崖の間際だから、森もすぐ近くにあって空気が新鮮だし目の保養にもなる。




ぼーっとその森林を見つめていると、お母さんがくるりとこっちを向いた。






「那琉、」





『ん?』




「来たからには楽しむわよ」



歯を見せて笑うお母さんにひどく悲しく、嬉しくなった。




お母さんは、わたしがあまり乗り気じゃなかったこたを知ってたんだ。





それを、察してくれながらも連れて来た理由ってーーー




「悟くんと香利奈の息子のねーー…」





















ガシャ













不吉な、不吉な音が聞こえた瞬間、世界がスローモーションになったようだった。






< 263 / 297 >

この作品をシェア

pagetop