姫はワケあり黒猫様
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『……晴天だ』
「やっべ、綺麗な空!撮っとこ」
「はー…」
…アホ一名、どうでもよさそうなの一名。
まぁ、お察しの通り旅行カバンを持って乗り込んでますよ。車に。
車から写真を撮って太陽の光にやられてるバカもいるけど、なんだかんだで楽しそうだ。
崖の間際だから、森もすぐ近くにあって空気が新鮮だし目の保養にもなる。
ぼーっとその森林を見つめていると、お母さんがくるりとこっちを向いた。
「那琉、」
『ん?』
「来たからには楽しむわよ」
歯を見せて笑うお母さんにひどく悲しく、嬉しくなった。
お母さんは、わたしがあまり乗り気じゃなかったこたを知ってたんだ。
それを、察してくれながらも連れて来た理由ってーーー
「悟くんと香利奈の息子のねーー…」
ガシャ
不吉な、不吉な音が聞こえた瞬間、世界がスローモーションになったようだった。