姫はワケあり黒猫様
「っ那琉………おいで…」
3人は私を呼んだ。
成音が立ち上がって一歩下がった瞬間、那綺は顔をくしゃっと歪めて笑った。
『那綺………、那綺……‼』
「な、る……
俺、自分のことだからよくわかるけど…
死んじゃう。俺。」
残酷にも兄に告げさせるその言葉には、とてつもなく重いものがのせられていた。
「っ大好き…だよ………………」
『いやっ…………いやぁ‼』
「那琉…また、ね……」
『お母さんっ』
「……いつでも……そばにいるから…」
『お父さんっ………‼』
3人は儚げに笑って、涙を流した。
「罪悪感に、囚われ、ることは無いよ…
ただ、1つーーーあ、いつ…を………」
言葉は途切れ、荒くされていた息は完璧に音をなくした。