姫はワケあり黒猫様
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《ハワイ便ーまもなくー……》
「あー、マジで玲行っちまうんだな」
「本当だよ。
何、お前等。面倒くさい」
「遠矢、口調戻りかけてるぞ」
ざわざわと賑わっている空港に、カラフルな頭髪集団。
「玲、絶対帰ってこいよ?!」
「お土産ね!」
「なんだ、その旅行行くてきなノリ。
そんなモンの為に行くんじゃねぇんだよ」
玲は呆れた様な顔をして笑った。
思った以上にまだマシな顔をしてる玲に安心した蒼月はクッ、と喉で笑った。
「玲様!準備が整いましたよ!」
玲を呼んだのは、朝霧家の自家用ジェットの運転手等を務める山口だった。
「もうすぐだなぁ。玲さんよ。」
若干眉を下げながらそう言う優に玲は口角を上げた。
「頑張れよ。総長よぉ」
「ふざけんな。急に押しつけやがって」
「押しつけたんじゃねぇよ。
ちゃんと務めなかったら殺すぞ」
「…わかってるよ。伝統は途絶えさせない」
優はフッと真剣な顔になった。
それを確認するように見て、玲は笑った。
「那琉のことも頼んだぞ」
「……」
「俺は、もう傍には居られねぇから。
頼んだぞ。」
二度目の言葉は、優に深くのしかかった。
『ふざけんな‼』