姫はワケあり黒猫様





空港に大きく響いた声に、辺りが一瞬シンと静まり返った。





すぐにざわめきを取り戻したものの、6人は呆然とその方向を見ていた。






黒い髪に、金の瞳を煌めかせたーー












気高き、黒猫。














『何が頼んだぞだ‼



何もかもほっぽり出しやがって‼



こっちの身にもなれ‼馬鹿‼』






涙を堪えた上擦った声は耳をふるふると揺さぶる。










「那琉ーーーー…」




















『嫌いになれたら、こんなに辛くないよ………‼』







等々零れた涙に気づいてギュッと目を瞑る。








その瞬間、ふわりと温かいものが私を包んだ。








< 289 / 297 >

この作品をシェア

pagetop