姫はワケあり黒猫様
空港に大きく響いた声に、辺りが一瞬シンと静まり返った。
すぐにざわめきを取り戻したものの、6人は呆然とその方向を見ていた。
黒い髪に、金の瞳を煌めかせたーー
気高き、黒猫。
『何が頼んだぞだ‼
何もかもほっぽり出しやがって‼
こっちの身にもなれ‼馬鹿‼』
涙を堪えた上擦った声は耳をふるふると揺さぶる。
「那琉ーーーー…」
『嫌いになれたら、こんなに辛くないよ………‼』
等々零れた涙に気づいてギュッと目を瞑る。
その瞬間、ふわりと温かいものが私を包んだ。