姫はワケあり黒猫様




「……チッ」



玲は那琉から目を逸らしながら舌を打った。




多分、優に膝枕されて寝ているからだと思う。





以外に独占欲が強いのかもしれない。





クスリと笑うと玲は俺に目を向けて口を薄く開いた。





「品定めはどうだった?」




「……玲の言ったとおり、完璧」




“かもね”とは言わなかった。




だけど、あの子は本当に完璧。







……でも、いつか壊れるのが目に見える様だった。








玲は俺の言葉に満足気に笑みを浮かべて俺を通り越して窓の外に目を向けた。








「ーーーーーお前等、今からやる事わかってるな?」





玲の言葉に俯いて寝ようとしていた夕季も顔をあげて全員玲に目を向けた。













「ーーー絶対、死守だ。






何としても……蒼月に括りつけろ」







「……了解」






一見、冷酷な言葉と態度になるかもしれない。





だけど、玲の意図には俺等も予想つかない程の、深く細い意図が何万も張り巡らされている。







俺等はこの総長に敬意を捧げる事を誓った。
















後戻りする気など、さらさら無い。











ただ、前へいく玲のスピードに合わせて、2.3歩おいて俺等はついていくだけ。












ーーー単純な、規則さ。














さぁ、黒猫はどこまで彼を変えてくれるのか?








……なんてね。









遠矢side -end-






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