姫はワケあり黒猫様
『は……ちょ、待って…』
「待たない、てか待てねぇ」
玲は私を見下ろしてニヤリと口角を上げる。
その行動に嫌な予感がしながらもカラフルに目を向ける。
カラフルは私の顔を食い入るように見ている。
『うぅ……』
思わず口から漏れる言葉は焦りに押された私の一部の気がする。
『だ、大丈夫です‼
わ、たしなんか無視して下さい‼
ごめんなさい、皆さんの大切な所に踏み込んで……
すみません………ごめんなさい…』
最初は大声でしゃべってたけど、最後は蚊の鳴くような声だった。
「「「……………」」」
「………」
カラフルな皆と、佳祐達まで喋らない。
完全なる静寂が倉庫に訪れた。
何秒何分、わからない。
でも、そこまでの時間がやけに長く感じた。
「フッ…」
隣で、玲が笑うまで。
私は隣で笑った玲に目を向けると玲は今まで最高の笑顔で私に笑いかけていた。
………胸が高鳴ったのは言うまでもない。
こんなイケメンが……笑ってるんだぞ、自分に。
惚れてまうやろーやわ。←
『……れ、玲』
あたふたと玲の名前を呼ぶと、佳祐達の方からも「……ブハッ」と間をおいて笑う声が聞こえた。
そのうちカラフル集団も戸惑ったようにしていたのに、笑い出して…
気づいたら、私も皆の笑顔をみて笑っていた。